子育ちの社会関係資本

【科研B】少子化時代の子育ちの社会関係資本を再構築する

住まい・道・住区の形態に関する研究

子育ちの社会関係資本 の 研究プロジェクトのサイトはこちら

科研ページはこちら

研究の趣旨

研究平日に外遊びしない子は最も多い学校で8割(小学校1年生から6年生全員対象、大都市部の場合)、地方でも6割(農村部)、7割(地方都市部)という調査結果(2018,2019)を得て、本研究課題を企画した。

子どもの外遊びはますます減少傾向にある。このような結果が出ても、我が国では、遊びは劣位に置かれ、対策もないに等しい。「公園でのボール遊び禁止」、「子どもの声が騒音」、「道路遊び迷惑」といった苦情が寄せられるように、子どもが外で遊び難くなる社会状況が進んでいる。一方、ITの進展は子どもの遊びの室内化をますます促進させる。

 子どもが外遊び無く、自然との接触、地域の大人社会や子ども同士の人間関係の経験無く育った場合にどうなるのであろうか。これまで動物行動科学、犯罪心理学の研究成果では、それは異常をきたすという警告が発せれている。しかし現実は変わらない。

 そのため、本研究でねらいを次の2点とした。

1. 子どもの外遊びの重要性を認め、政策展開に舵を切るに値する強力なエビデンスをつかみ、それを発信すること。

2. 対策として考えられる数ある課題の中でここでは住まい・道・住区という生活圏の基本単位からその改善の方向を地域の状況に合った選択性のある型録として提示する。

 これまでの議論から、子どもが外遊びしにくいのは地域の「社会関係資本」(見えない人間関係の網の目が有している機能)が衰退していることに起因すると仮説立てた。この「社会関係資本」は子育て、子育ちのみならず高齢者福祉、防犯、防災など様々な課題と関わりあう。そこで社会関係資本を再構築する住まい・道・住区の空間形態を「型録」形式で提示することで、子育て家族のみならず高齢者も含めて国民が手にとって関心を持ち、また行政、国の政策にも働きかけるアウトプットとしてまとめる予定である。